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2018年3月 6日 (火)

雪への備え

ボーイング767副操縦士 髙田

Category:  パイロット

皆さま、こんにちは。

旅コラムをご覧いただきありがとうございます。ボーイング767副操縦士の髙田と申します。
最近は天気予報の精度も上がり、雪への備えが事前にニュースで報道されることも多いですよね。
おそらく、皆さまにおかれましても出勤や登校時間を早めてみたり防寒具を用意したりして雪への備えをされているかと思います。
航空機の運航に関しても雪の中では多くの制約があり、時に非常に厳しい状況下に置かれることもあるので、パイロットにとっても雪への備えは非常に重要です。

「パイロットの雪への備え」と聞いて、皆さまは何を思い浮かべるでしょうか?
防寒用のコートを卸す、滑りづらい靴に履き替える、天気の勉強などなど枚挙に暇はありませんが、何といってもそのシーズン初めての雪の中の運航を行う際にはCOLD WEATHER OPERATIONのレビューだと答えるパイロットが一番多いと思います。
COLD WEATHER OPERATIONとは、雪の中での運航の手順のことで通常の航空機の操作手順に加えて、雪の中でも安全に航空機を運航するためにさらに細かな手順が規定されています。普段とは違う手順なので、私は降雪が報じられているフライトに臨む際はその手順をおさらいしてフライトに向かっています。
以下に代表的な物をいくつかご紹介します。
〔防除氷作業とホールドオーバータイム〕
降雪の続く空港で、このような風景をご覧になられた方も多いのではないでしょうか?

今この飛行機は防除氷作業の真っ最中です。

飛行機は雪が機体に付着した状態では必要な揚力を得ることが出来ないので、防除雪作業を行って離陸前に綺麗な状態にする必要があります。
ここでパイロットに求められる手順は、散布されている防氷液の種類や濃度および作業開始時刻の把握、それらから算出できるホールドオーバータイムの把握です。
ホールドオーバータイムとは防氷効果が期待できる時間であり、その時間内で離陸をしなければなりません。万が一混雑などで、この時間内の離陸が出来ない場合は安全性が担保されないので、例え滑走路の手前まで来ていたとしても、もう一度駐機場へ引き返し防除雪作業をし直さなければならないのです。またそのホールドオーバータイムも温度や視程、降雪状況などによって変わってくるため、定められた時間の中で確実な運航を行うには手順をあらかじめ理解しておかなければ使い物になりません。

〔滑走路状況と横風制限〕
航空機も自動車と同様に雪道ではスリップする可能性があります。そのため、雪の中での離着陸には滑走路や誘導路の路面状況の把握が大切で、状況に応じては離着陸をとりやめる場合もあります。また、強い横風の場合にもスリップしてしまうことが考えられるので、横風制限を設けて安全性を担保しています。離着陸の直前で制限を超過するような風が吹くこともあり、マニュアルを引っ張り出して調べる時間も勿論ないので、やはり前日のレビューが効いてくるのです。
これはSNOWTAMといって、とある日の小松空港の滑走路面および誘導路面の状態をまとめた情報です。積雪のある空港からの離着陸時には必ずこのように事前に情報を入手して、空港のどこが滑りやすくなっているのか、滑走路が滑りやすくなっている場合には横風の制限値はいくつなのか、などを把握しています。

一見、SNOWTAMの解読は難解なように見えますが、実際の運航では空港地図上に滑りやすさを反映させた物を用意し、視覚的に把握できるようにしています。(SNOWTAMの解読に関しては、こちらをご参照ください。新しいウィンドウで開きますhttps://aisjapan.mlit.go.jp/html/Info/ntmsijp.html
当日は記録的な豪雪で空港も一見スキー場のようになっていました。

いかがでしたでしょうか?
今シーズンもまだまだパイロット泣かせの降雪が続く地域もありますが、日夜万全の雪への備えを持って安全運航を堅持しておりますので、日本航空をご利用いただければ幸いです。

※旅コラムは、2018年3月6日時点の内容です。

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