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2013年8月21日 (水)

ウィングレット

767機長 萩尾

Category:  パイロット

みなさま、蒸し暑い毎日が続いておりますがいかがおすごしですか。ボーイング767機長の萩尾です。私は10数年ボーイング767型機に乗務しておりますが、今までにも数々のハードウェアやソフトウェアの変更、操作方法の変更など時代の流れに沿って767型機は進化してきました。そんな中で最近、外観上の大きな変更としてウィングレットが国際線767-300ER型機に数機限定で装着されはじめました。今回はそのウィングレットについて紹介したいと思います。

ウィングレットとは飛行機の翼端についている小さい翼のことです。

見た目には737-800型機の物と似ていますが、随分とサイズが大きくなっています。このウィングレットの高さは3.35メートルもあります。また翼幅は3.3メートルほど広がりました。ちょっとシャープに見えて格好がよくなったと言われていますが、見た目だけではなくウィングレットのお陰で767型機の燃費が格段によくなったのです。このウィングレットは現在767型機を保有している多くの航空会社に採用されるほど注目されています。

飛行機は、一般的に軽いほど燃費が良いと言われています。また空気抵抗が少ない方がより燃費が良いと言えます。767型機のウィングレットは、左右合わせて約1,500kgの重量増になります。大きいパーツを翼端に取り付けることで重くなり、そして空気抵抗が増えるように思えますが、実際にはこのウィングレットがこの空気抵抗を少なくしてくれるのです。

ちょっとむずかしい話になりますが、飛行中の飛行機の主翼の先端には常に空気の渦ができています。その渦が主翼の下から上に当たる事はどうしても避けられない空気抵抗として理解されています。ところがこの渦が、せりあがったウィングレットのおかげで翼の上に当たりにくくなり、結果として空気抵抗が減るのです。つまり空気抵抗が減る分、飛行に必要なエンジンの出力も少なくなり燃費が良くなるのです。

737-NG winglet effect (simplified)
By Olivier Cleynen (投稿者自身による作品, re-using File:737-NG rear view.svg)
[CC-BY-SA-3.0], via Wikimedia Commons

実際にはどれほど燃費がよくなるのでしょうか。飛行距離が長ければ長いほどその効果は大きくなります。例えば767型機が運航する一番長い路線は成田からカナダのバンクーバーになりますが、この路線では約5%消費燃料が少なくなります。5%というと少ないと思われるかもしれませんが、例えばバンクーバーから成田まで100,000ポンド(約45トン)の燃料を消費するとして、ウィングレット装着機だと5%分の5,000ポンド(約2.25トン)燃料の消費が少ないことになります。ドラム缶に例えるならば約15本分に相当する量です。

これだけの燃料を片道飛ぶ毎に節約できるということは、二酸化炭素の排出量も抑えられ、地球環境への配慮という観点からもとても有益なことなのです。767型機は1980年代前半にデビューした古いデザインの飛行機ですが、このウィングレットの登場によって最新鋭機にも引けを取らない燃費が実現できたので、前述のとおり世界でも767型機にウィングレットを付けて運航する航空会社が多くなりました。

さて、実際に操縦をするパイロットはこのウィングレット付きの767型機の性能の違いをどのように感じているのでしょうか。私自身は数回ほど乗務する機会がありましたが、あまり違いを感じませんでした。パイロットの操作などはウィングレット非装着の機材と変わらないので実際に乗務中にウィングレットを意識することはほぼありません。これほど大きいものを翼端に付けているのにパイロットに違和感を感じさせず、燃費だけが良くなっているという事は乗務する側としても素晴らしい事だと思います。

最近の飛行機には形は様々ですが、翼端がカーブしているもの、ウィングレットの様な翼がついているものがほとんどです。JALの保有する飛行機の中でも737-800型機はウィングレットがついています。
また777-300ER型機や787型機にはレイクドウィングチップという翼端が後方に曲げられているものもあります。つまり今までは767型機だけが翼端に何もついていなかったことになります。

今後の767型機ですが、国際線用の767-300ER型機には12月(予定)より2014年度にかけて、バンクーバー線を皮切りに、ホノルル線や長距離アジア路線に新しい座席が導入される予定です。ビジネスクラスはフルフラットシートになり、エコノミークラスも国際線777-300ER型機と同じ座席間隔の広いものが導入されます。詳しくはホームページをご覧ください。

これからも進化し続ける767型機をどうぞよろしくおねがいします。

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