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2018年4月13日 (金)

「朝焼けの中のランデブー」

ボーイング787機長 山本

Category:  パイロット

皆さま、こんにちは。
ボーイング787機長の山本です。

今回はアラスカ上空でのお話です。

成田を離陸して四時間が経過した。月のない夜。空には綺麗な天の川。
月齢は新月に近い有明の月。登って来るのは夜明け直前だ。
1,000フィート上には我が社のニューヨーク便が飛んでいる。
成田で我々の後に離陸して道中を一緒に過ごしている。
我々はスケジュールに余裕があり、巡航速度も抑えめにして燃費効率が高くなる速度で飛行している。
彼らはスケジュールがタイトなため我々より若干早い速度での飛行。
離陸時間は4分程度差があったが、今は編隊飛行をしているようだ。
程なく飛行機が軽く揺れ始めた。高層の層雲系の雲が我々の高度にかかってきたのだ。
早速、無線でニューヨーク便の彼らに相談。彼らの機体は787-8だ。
我々は胴体を延長した787-9タイプ。機体の軽い彼らはいつでも巡航上昇が可能とのことで彼らの高度を譲って貰う。
すぐに彼らはより高い高度へとステップアップしてくれた。
こういうことは会社が違っても時々起こりうる。
上空では空の仲間同士、お互い様の精神でみんながハッピーになるようなやりとりがあるのだ。
エアマンシップと呼ばれる空に生きる者同士のある種の連帯感。そういう物を感じるひと時である。
僅か1000フィートの上昇でも雲を抜けることで気流は格段に良くなった。

やがて交代の時間となり、私は左席の操縦業務から右席モニタリング業務へと移動。
水平線から有明の月が登ってきた。そして東の水平線も徐々に赤く色づいている。
いつしか下層の雲もなくなり、地上も徐々に姿を見せ始める。アラスカ西側に広がるアリューシャン山脈。
まだ雪で一面の銀世界。その山岳地帯に沿って飛行している。
この辺りの山には植生がない。岩肌にそのまま雪が覆われているようで環境の厳しさを感じる。
やがて日の出を迎えた。山々が朝焼けに染まる。朝日が遠くまで照らし、凍ったアラスカ湾も姿を現わす。
左側遠方には大きな山。デナリだ。300キロ先にあるはずだが、この高度ではよく見える。
数年前に正式名称がマッキンリーからデナリへと変更された北米最高峰。
今日のアラスカ上空は雲が全くない。デナリとその周辺の雪原が朝日に照らされて特に美しい。
日本時間では午前0時半過ぎ。機内ではお客さまは皆お休み中。
起きている方も無く、残念ながら我々乗務員だけでの鑑賞会となった。
朝日に浮かぶデナリの勇姿。これは間違いなく感動する。春先のとっておきの宝物がまた一つ増えた。
東海岸行きの昼間出発便ではオーロラ鑑賞が期待できる路線だ。
その一方で787が飛ぶ夕方出発便ではアラスカで夜が明けてしまいオーロラを見ることはほとんどない。
しかし眠っている宝はまだまだあるのだと気付かされるフライトだった。

絵 / 787副操縦士 有馬

新年度が始まりました。新しい生活が始まった方も空港には大勢いらっしゃいます。

ロビーを歩くとそういった人生の節目の方々をよくお見掛けします。私たちもそういったお客さまへ思いを馳せてより良いフライトを作っていきたいと思っています。今回で私の担当は最後になりますが、引き続き運航の現場で空の魅力をお伝えしていきます。次は機内でお会いしましょう。

※今回掲載しているイラストは、787副操縦士の有馬が描きました。

※旅コラムは、2018年4月13日時点の内容です。

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