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2017年8月25日 (金)

初秋のバルト海にて

ボーイング787機長 山本

Category:  パイロット

皆さま、こんにちは。
ボーイング787機長の山本です。今回は、趣向を変えてパイロットの視点で感じるフライトの日常を日記風にご紹介していきます。
地上で夏の終わりを感じる今のヨーロッパですが、コクピットでも季節の変化を別な形で実感します。上空一万メートルで感じられる季節の変化をお楽しみください。

2016年8月 JAL408便 フランクフルト発成田行き

フランクフルトからの帰り。
休憩から戻るとそこはスウェーデンとフィンランドの国境だった。
八月の下旬。美しい夕焼けが北西の空に広がっている。
既にストックホルムの街は過ぎ、バルト海とボスニア湾の境目あたりからトゥルクの街明かりが見える。さらにその右奥にヘルシンキ、そしてタリンの街明かりまでが見えていた。
今日はいつもより低層の雲が少なく遠くの夜景も良く見える。
客室ではまだ夕食サービスが佳境の頃合いだろう。
右席に着くと、それまでの飛行概況を聞きながらコックピットの計器やスィッチの状態を一通りチェックしていく。
飛行計画より5分程度早まっている。
途中の経路をショートカットさせて貰えたのだろう。
すべてがいつも通り。
ヘルシンキを過ぎた頃合いから月が上ってきた。下弦の月。
これから新月へと向かう月だ。
それでもまだ半円ほど残っている月が放つ光は明るい。

特に正面に来ると星はあまり見えない。
少し残念そうに思って眺めていると、ロシアの空域へと近づいてきた。
“Japan Air408 Radar Service terminated, Contact Petersburg Control 133.6”
“日本航空408便へ。当方のレーダー援助はここで終わりです。
(次の管制)ペテルブルグと133.6MHzで通信設定をしてください。”
このようなやり取りを経て、ロシアの空域に入る。
ここで毎回思うのが“St.Petersburg”の発音だ。
ロシアの人はサンクトペテルブルグと発音する。
西側の国ではセントピータースバーグ。
由来が聖ペトロの街ということで、宗教上の人物であることから、このように言語によって異なる呼ばれ方で各地に普及していったのだと思う。聞いていると不思議とどちらにも違和感は感じない。
ロシアに入ってから暫くすると、天空に白いぼやーっとしたカーテンが現れ始めた。月明りにおされ気味ながら淡い光がうっすらと現れている。八月も末になって、徐々に夜も暗くなってきたのだ。
今シーズン初のオーロラ。
コクピットの正面から真上へと延びている。
左の窓にも時折たなびく白い光が見えている。
月が出ている状態でここまでのオーロラが見えるのは珍しい。
今日は特にオーロラが出る条件が揃っていたようだ。
いよいよオーロラシーズンの開幕。引き続きこれを生かした楽しいフライトを演出していきたいと思う。

※今回掲載しているイラストは、787副操縦士の有馬が描きました。

※旅コラムは、2017年8月25日時点の内容です。

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